「日中友好宗教者懇話会 北京・福建省参拝団」
<報告・3日目>

<3日目> 8/28 「福州開元寺」&「莆田・廣化寺」参拝

3日目の朝


薄曇り空、気温30度前後のやや蒸し暑い朝。この日一行は、連日の早朝起きから解放され、朝食後はゆっくりとした時間を過ごしました。ホテルの前に広がる風光明美な西湖は杭州の西湖より面積ははるかに狭いですが、3キロメートルの周囲には西湖遊歩道の桟道が完備され、早朝散歩や太極拳、ダンス等を楽しむ市民の憩いの場となっていました。
午前9時20分、一行はホテルを出発し、近くにある「福州開元寺」へと向かいました。あいにくの通勤ラッシュの大渋滞で、車窓からは福建省名物のガジュマルの街路樹が眺められ、他にもライチやマンゴウの木が街中のあちこちに生い茂っていました。

午前10時、やっとの思いで「福州開元寺」に到着、一行は同寺の首座大和尚でもある世起法師や僧侶達の暖かい歓迎を受けました。福州開元寺は梁の時代(548年)に創建された由緒ある仏教寺院で、空海大師が唐に渡って最初に入った寺院としても知られています。昔は広大な敷地の寺院でしたが、現在は周囲の池も埋め立てられ、マンション等に囲まれています。狭い境内は朝から参拝客で賑わっており、山門を潜ると、薬師堂の前に空海の立像と空海入唐の地の碑、左手には五百羅漢堂、境内の中央広場には建立当時からの井戸と言われる“蘇公井”があり、更には、大雄宝殿等の復元工事用と思われる巨木柱が何本も横たえ置いてありました。


福州開元寺

福州開元寺


福州開元寺は唐の時代から息災延命薬師仏のある道場として知られており、現在の福州市漢方病院はその流れを汲んでいること、また日本の空海大師や園珍大師、印度の密教僧が修学したこと等、寺院側の説明を受けた後、一行は薬師堂に安置された薬師仏の前で経を唱え、表敬の意を込めて参拝しました。次に案内された「鉄仏殿」には高さ約6メートル、重さ5トン以上と言われている金箔の特大鉄仏が安置されており、鉄の鋳造仏としては中国で最も古い918年(五代後量貞明四年)に造られ、現在は福建省の重点文物保護単位に指定されているとのことでした。


福州開元寺


続いて一行は、空海大師法身塔や団珍大師法身塔などを見学しながら、何故か横を向いた空海大師像が安置されている「毘慮蔵経閣」の二階に案内され、お茶と果物入りでの懇談の場が設けられました。寺院の案内書によりますと、福州開元寺は仏経典を刻印する寺院として有名で、1112年(宋徽宗政和二年)に福州蔵とも言われている『毘慮大蔵経』を刊行。40年もの年月を要し、合わせて590函、1451部、6132巻に登りました。当蔵の原版は永年に渡る様々な原因によってその大部分が消失され、現在は日本の宮内庁が所蔵している経典を撮印したものが蔵書されているとのことです。この福州蔵の初版刷と思われる『宋版経二百二十六帖』及び残欠が今回の参拝団の団員であるご住職の中尊寺大寿院にも伝襲、保管されており、これを機会に、これまで日本ではあまり議論されることのなかった『宋版経』の研究にとって今後、新たな進展が期待されそうです。


福州開元寺

 

午前11時、福州開元寺への参拝を終えた一行は、現在、福建省仏教協会の事務所があり、福州開元寺の蔵書が収蔵されているという近くの「海法寺」へと向かいました。同寺二階には『毘慮大蔵経』をはじめ、中国で刊行された主な経典類が所狭し、と並んでおり、一行は各自、関心ある経典類を見つけ出して時間を惜しむように閲覧していました。

海法寺


午後1時20分、一行は福州市内のホテル「金仕頓大酒店」内のレストランで昼食を済ませた後、福州から厦門へと向かう福厦高速路に入り、莆田の「廣化寺」へと向かいました。3車線の高速路は、荷物満載の大型トラックが何台も行き交っていましたが渋滞はなく、一行は途中でトイレ休憩を挟みながら心地良い仮眠をとり、快適なドライブとなりました。

廣化寺


午後4時、郊外には真新しい高層マンションが林立し、幅広い道路に面した大きな体育場や体育館、劇場が立ち並ぶ整然とした莆田の新市街地を経由し「廣化寺」に到着しました。廣化寺は福州開元寺と違って、緑豊かな広大な敷地に荘厳な建物が立ち並んでいました。大きな山門に到着すると、莆田市民族宗教事務局の陳宗柱氏、同寺監南少林寺住職の空性法師はじめ、同寺の僧侶達が満面の笑顔で一行を歓迎してくれ、ガジュマルや龍眼の大木の茂った境内をゆっくり説明しながら案内してくれました。廣化寺は558年(南朝陳永定二年)の創建で、莆田市の南約3キロメートルにある鳳凰山(通称「南山」)の山麓に位置しています。約1450年の歴史を有す著名な閩の千年古刹で現在、福建四大仏教寺院(福州の鼓山寺、厦門の南普陀寺、泉州の開化寺)の一つに数えられています。


廣化寺


宋代の廣化寺は興隆を極め、10の寺院と120の仏堂があって約千人の僧が修行していたと言われており、廣化寺のシンボルともいえる釈迦文佛石塔は、1165年(宋乾道元年)の建立で、五層八角の楼閣式、高さは約36メートル。天王殿前の両側に立つ陀羅尼石憧は釈迦文佛塔より古く、約950年前の1065年(宋治平二年)に立てられたものです。
一行は内殿の左右に赤銅色の祖師像が立ち並ぶ荘厳な雰囲気の「大雄寶殿」に案内され、早速、釈迦牟尼像の前で経を唱え、表敬と感謝の意を込めて参拝しました。参拝を済ませた一行は冷房の効いた寺院の貴賓室に案内され、お茶と果物をいただきながらの懇談の場が設けられました。一行からは、現在、学誠法師が学院長されている「福建仏学院」についていろいろと質問が出され、同寺知客省仏学院の正参法法師等から一つ一つ丁寧な説明を受けました。「福建仏学院」は漢族地区の全国重点寺院に指定された1983に創設され、現在は中国全土から約250名の若い僧徒が修業しながら居住しているとのことでした。


廣化寺

午後5時30分、廣化寺での参拝を終えた一行は、この日のホテル「莆田曠遠錦江国際酒店」にチェックイン。一旦、部屋に入った後、午後6時半から、同ホテル2階のレストランでの夕食となりました。この日は団員のお一人が誕生日とあって、橋本添乗員が密かに特製のケーキを用意し、タイミングを計っての登場を、と画策していましたが、団長が最初の挨拶のところで、いきなり誕生日おめでとう、との発言があり、廊下に待機していた女性服務員はあわててローソクに火をつけながら部屋に入ってきました。全員で大笑いしながら、ハッピーバスデーを合唱し、異国での62歳の誕生日を祝いました。
この日の夕食は、旅の中日とあってか台湾製の58度の白酒が振舞われ、燃え上がるような味に一行は大騒ぎしながらの乾杯で、福建料理とともにすっかり酔いも回り、午後9時過ぎに賑やかなこの夜の宴はお開きとなりました。この後、一部は1階のレストランの二次会で、醤油かけの“ラーメン”を味わったとのことですが、白酒の酔いで記憶の無い方(?)もいたとかいないとか。


夕食にて


 「日中友好宗教者懇話会 北京・福建省参拝団」 報告

報告 1日目 「中国仏教協会」&「国家宗教事務局」表敬訪問

報告 2日目 「空海大師記念堂」&「空海漂着記念碑」見学

報告 3日目 福州開元寺」&「莆田・廣化寺」参拝

報告 4日目 「泉州開元寺」参拝 & 泉州市内散策

報告 5日目 「南普陀寺」参拝 & 厦門市内観光

報告 6日目 コロンス島観光 & 帰国手続き


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